70
古川拓
Taku Furukawa
作文
写真を撮る。目の前で起こる事柄を瞬間的に記録する。シャッターを切るたびに自分と世界の親和性が薄く平板に伸びていくような恐怖がある。自分とカメラという機械の間に本来あった筈の境界線はいまや希薄だ。自分がカメラのようでカメラが自分のよう。自分だけがいない世界を撮っている。まるで小学校のグラウンドの土になったような気分。足型だけを記録して、ひっそりと、のっぺりと。ここでは一枚の写真を一つの単語として数える。この平面に配置された写真群には明確な時間性がなく紐付けられた明白な場所もない。各々が互いに独立していて、ある意味での象徴的記号の役割を与えられている。決められた読み方はなく文法のようなルールもない。それゆえにこの平面は自由である。縦であり同時に横である。作家はこの横幅10メートル弱の平面が客観を元に文体として回帰し、その客観性の中に奥行きを見出すことを望んでいる。写真を読む。
Cafe/Gallery Rokujian
京都府京都市左京区岡崎南御所町40-20
Open: 4.13 Sat.–5.12 Sun.
11:30–17:00
Closed: Mon
11:30 - 17:00
入場無料